メイド天国フィリピン?の現実
HINDHIです。
フィリピン移住を薦める業者のセールストークのひとつに、フィリピンではメイドを格安で雇えて、家事を簡単にやってくれる、フィリピン人は家族思いで、ホスピタリティが素晴らしい。
というものがあります。
確かに、この文言だけでは嘘ではありません。
でも、私自身、独り住まいということもあり、一度はメイドを使いましたが、現在は止めています。利便性とストレスを天秤にかけたら、ストレスの方が大きかったから、です。
まず、格安で雇える、というのは事実です。
住み込みの掃除、洗濯担当なら、1ヶ月4千ペソから5千ペソ程度(約8000円から1万円。3食とメイド部屋は支給する必要があります)。
通いであれば、この倍くらいの相場と思いますが、フィリピンでは住み込みが主流です。その理由は、大部分のメイドが地方から出稼ぎに来ていて、住まいがないから、です。これがいかにも、フィリピン、という感じです。
確かに格安では雇えるのですが、家事を簡単にやってくれる、というのは、日本人感覚で期待すると危険です。
日本のダスキンなどの家事代行サービス、みたいなハイレベルを期待してはいけません。下手したら、仕事のやり方の全てを教えないといけない可能性もあります。
日本とは比較にならない格差社会のフィリピンで、フィリピン国内のメイド職というのは、現実としては、最も低いランクの位置づけの職業なのです。
高校を出ていないのはザラで、英語も満足に出来ない人もいる階層です。
日本人の駐在員では、コミュニケーション自体が厳しい位になります。
それで、日本人感覚では、同時並行で色んな仕事をすることは当たり前なのですが、フィリピン人メイドにこれを期待するのは止めた方がいいでしょう。
まず、洗濯機を回してから掃除をはじめて、洗濯が終わったら、一旦掃除から離れて、衣類を干す、なんていう切り替えはかなり厳しい、、、
洗濯の間は、洗濯機の前で座り込んで携帯をいじるか、携帯を取り上げられていたら、ただ、ボーっとしているのがフィリピンの現実なのです。
家の中のモノがなくなる、というのも、頻繁にあるケースです。
これは、タイに駐在していた方からは殆ど聞きません。タイは本当のメイド天国みたいです、、、
通いのメイドの場合、退勤時、毎日、荷物チェックをするのは基本ですが、性善説の日本人ホスト、特にご夫人にはこれはしんどい習慣となります。
疑う位なら雇いたくない、と考える日本人は多いと思います。
一方、住み込みであっても、外出は許可制でも、近所の友達とつるんで、家の備品や酷い場合には現金が手渡しで運び出されるのを完全に防ぐのは難しいです。
散々やられた挙げ句、突然、逃亡。給料日直後に良く起こります。
フィリピン人は家族思いで、ホスピタリティが高い。
家族思いなのは間違いないです。結婚しても、元の家族が最優先です。
ここで、日本人の多くが勘違いするのが、メイドで雇ったら、家族のように世話してくれる、ということです。
この部分で期待を大きく外されて、メイドがらみでストレス過多な生活となっている人を沢山知っています。
もちろん、フィリピン人のホストで、メイドとの信頼関係構築が得意な人は多いです。ビジネスライクすぎず、でも、家族的すぎず、甘えさせすぎず、と良い関係を作っているのですが、これは、駐在員としてフィリピンに住む日本人には極めて難易度が高いことだと思います。
フィリピン人がホスピタリティが高い、というのは、家族や親友、恋人であれば、という条件付きのものなのです。
それなりのレストランに行っても、東南アジアでも最低レベルのホスピタリティであることに、フィリピン初訪問の日本人は驚くものですが、これが現実です。
呼んでも聞こえないふりして、スタッフ同士でおしゃべりするのは、基本ですから、、、
数年前、当時、投資ではそれなりに有名だった人が、フィリピン人のメイド事業にチャレンジしました。
その人の触れ込みでは、
”フィリピン人メイドに炊事洗濯掃除をやってもらい、余った時間は、ネット転売のリサーチなど、みなさんの仕事のアシスト、秘書みたいになってもらう”
とアピールしていましたが、これ、フィリピン人メイドの現実を知っている人からしたら、絶対にムリだと当時から判っていました。
たまに日本帰国して、すき家が未だにワンオペの時間があるのには驚くばかりなのですが、フィリピンであれば、
会計スタッフ:1人
配膳スタッフ:2、3人
調理スタッフ:4、5人(料理種別に違う人が必要)
清掃スタッフ:2名
ざくっと、10名近くのスタッフを配置しないと店が廻らないでしょう。
会計スタッフが間違っても、清掃なんてやらないから、です。
こういう現実ですので、月1万円で家事の一切から解放されて、セレブみたいにメイドを使える、と期待するのは考え直した方が良いですね。